今だから言える、蜜蝋ラップ作りの失敗談

「手作りって、丁寧なイメージがありますよね」

そう言っていただくことがあります。ありがたいなと思う一方で、
正直に言うと、今の仕上がりにたどり着くまでには、数え切れないほどの失敗がありました。

きれいに包める一枚も、最初からきれいだったわけではありません。
今日は、あまり人に話してこなかった、その裏側を書いてみようと思います。

そもそもの始まりは、見よう見まねでした

蜜蝋ラップを作り始めた頃、参考にできる情報はそれほど多くありませんでした。

海外のブログや動画を見ながら、
「たぶんこういうことだろう」と、見よう見まねで布に蜜蝋を溶かしていったのが最初です。

道具も専用のものはなく、家にあるフライパンやハケを使っていました。
今思えば、うまくいかないのが当たり前のスタートだったと思います。

最初の失敗:蜜蝋を溶かしすぎて、布がベタベタに

一番最初の頃、蜜蝋の量も温度も、完全に感覚だけでやっていました。

「たくさん染み込ませた方が、しっかり包めるはず」
そう思って蜜蝋を多めに溶かして布に塗ったところ、
乾かしても布がベタベタのまま、まったく使い物になりませんでした。

食材を包むどころか、手にべったりとくっついてしまって、
「これは全然違う」と、最初の一枚で早々に気づかされました。

蜜蝋は多ければ良いわけではなく、布に染み込む適量があるんだと、
このとき初めて知りました。

次の失敗:ムラだらけの仕上がり

量を調整できるようになった後も、今度は塗りムラに悩まされました。

布の端の方だけ蜜蝋が薄くて、真ん中だけ厚い。
乾かしてみると、場所によって硬さも手触りもバラバラでした。

薄いところは頼りなく、厚いところは硬すぎて折り曲げにくい。
一枚の中で仕上がりが違うというのは、想像以上に扱いにくいものでした。

きれいに仕上げるには、蜜蝋を「塗る」というより、
布全体に均一に行き渡らせるという感覚が必要だったんです。
これは、何枚も何枚も作りながら、少しずつ体で覚えていきました。

刷毛の動かし方、布を置く向き、蜜蝋を落とす位置。
そのひとつひとつを微調整しながら、ようやく「これなら」と思える仕上がりに近づいていきました。

一番悩んだ失敗:表面が白っぽく乾いてしまったこと

正直、これが一番長く悩んだ失敗です。

せっかく均一に塗れたと思っても、乾かしている途中で、
表面がうっすら白く粉をふいたように乾燥してしまうことがありました。

触るとパリッとしていて、色も濁って見える。
「せっかくきれいに塗れたのに」と、何度もがっかりした記憶があります。
同じ手順でやっているはずなのに、うまくいく日とうまくいかない日があって、
最初は原因がまったくわかりませんでした。

原因を探っていくうちに、**乾かす環境(温度や置き方)**が大きく影響していると気づきました。
急激に冷やしたり、風の当たり方が偏ったりすると、蜜蝋が均一に固まらず、 表面だけ先に乾いて白っぽくなってしまうんです。

季節や湿度によっても仕上がりが変わることがわかってからは、
その日の気温や湿度を見ながら、乾かす時間や場所を調整するようになりました。

それ以来、乾かす場所や置き方、冷ます速度まで、
以前よりずっと丁寧に管理するようになりました。

失敗を重ねてわかったこと

こうして振り返ると、恥ずかしいような失敗ばかりです。

でも、どの失敗にも、ちゃんと理由がありました。

  • ベタつく → 蜜蝋の量が多すぎた
  • ムラになる → 塗り方・伸ばし方が均一じゃなかった
  • 白っぽく乾いてしまう → 乾かす環境(温度・置き方・冷ます速度)が不十分だった

失敗ひとつひとつが、次に直すべきポイントを教えてくれていたんだと思います。
うまくいかない原因を一つずつ潰していく作業は、地味で、時間もかかりました。
それでも、その積み重ねがなければ、今の仕上がりにはたどり着けなかったと思います。

今、少しずつ「丁寧な仕上がり」と言っていただけるようになったのは、
この失敗の積み重ねがあったからです。

今も、完璧ではありません

正直に言うと、今でも「これは理想通り」と思える一枚に出会えるのは、
決して当たり前のことではありません。

季節による湿度の違いや、布の状態によっても、仕上がりは変わります。
同じ手順、同じ材料でも、その日の気候によって微妙に表情が変わるのが、
天然素材で作るものの面白さでもあり、難しさでもあります。

だからこそ、一枚一枚、手で触って確認しながら作っています。
機械で均一に仕上げることはできても、この「触って確かめる」工程だけは、
今も人の手でしかできないと思っています。

大分の田舎の小さな工房で、
今日も試行錯誤しながら、蜜蝋ラップを作っています。

もし手に取っていただく機会があれば、
その一枚の裏に、たくさんの失敗があったことを、
少しだけ思い出してもらえたら嬉しいです。

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