わたしたちの台所と世界のつながり
「地政学」という言葉、あまり聞きなれないかもしれません。だけど、実は私たちが毎日手にする食べ物や布、暮らしの道具のひとつひとつは、この地球のどこかで、誰かが作ってくれたもの。しかもそれは、ただの“ものづくり”ではなく、資源、労働力、輸送、気候、通貨、政治──あらゆる要素が複雑に絡み合う構造の中で動いている。
ざっくり言えば、地政学とは「地理」×「政治」×「経済」を読み解く視点です。
たとえば、「どの国が何を生産し、どこへどう運ばれ、なぜそこにあるのか」という背景を考えること。それを知っておくと、私たちの選択がどんな構造の上に成り立っているのかが少し見えてきます。そうすると、ふだんの買い物もただの「消費」じゃなくなってくるんです。
環境問題やエコ、サステナブルという言葉を聞くと、どうしても「自然」や「気候」といったイメージが先に浮かぶかもしれません。でも、実はわたしたちの暮らしをめぐる選択──たとえば、何を食べるか、どんな布を使うか、どんな包装で保存するか──には、国境を越えた「地政学的な力」がはたらいています。
たとえば私が扱っている蜜蝋ラップ。表面に塗る蜜蝋は、日本だけでなく、アジアやオーストラリア、時にはアフリカの蜂たちがせっせと集めた蜜からできていることがあります。
その原料がどこから来て、どう運ばれ、どういう為替や国際的な協定の影響を受けて価格が決まるのか──日々の買い物にそこまで考えを巡らす人は少ないと思います。
でも実は、これらは「暮らしのなかの地政学」と呼べるようなテーマなのです。

紛争とオーガニックコットン
たとえば、オーガニックコットンの原産地として有名なウズベキスタンやインド、トルコなど。これらの国々では、気候変動だけでなく、水の確保、農業労働者の権利、ジェンダー格差、そして国際的な制裁や貿易摩擦など、複雑な政治経済の問題が絡んでいます。
実際、2022年に米国がウイグル自治区での強制労働疑惑に基づき、そこで生産された綿花の輸入を禁止したとき、世界中のサプライチェーンが一時的に混乱しました。日本の生協で取り扱っていた製品にも影響が出たという報告があります(出典:Human Rights Watch, 2022)。
「環境にやさしいコットンだから」と安心していたものが、実は複雑な背景の上に成り立っていた──そんなことも少なくありません。

フェアトレードとその限界
「フェアトレード認証」を受けた製品は、消費者にとって安心材料の一つ。でも最近では、認証の枠組み自体に限界があるという声も上がっています。
たとえば、認証制度にかかる費用や管理体制が生産者にとって負担になることや、実際の労働環境が改善されないまま「フェア」の看板だけが先行してしまうこともあるのです。国際NGO『Oxfam』の2023年の報告書では「フェアトレードは重要だが、万能ではない」と結論づけられています。
それでも、何もしないよりはずっといい。わたしたちが「選ぶ力」を持っているという事実は、地球の未来に希望をもたらします。

蜜蝋ラップが教えてくれる“つながり”
蜜蝋ラップという、ちいさな台所用品を通じて、世界の構造を考えることができる──私はそれが、この仕事のいちばんおもしろいところだと思っています。
たとえば、蜜蝋の輸入元がオーストラリアだとしたら、そこでは山火事や干ばつで蜂の生息地が減少していることもある。輸送時のCO2排出量も含めて考えると、ローカルな生産と消費のサイクルがいかに大切かが見えてきます。
日本でも、農薬の影響や気候変動によってミツバチの数は減少傾向にあり、特に西日本では猛暑や豪雨が蜜源植物の育成に大きく影響しています。そうした中で、遠くから原材料を輸入して加工・販売することの環境的コスト――たとえば輸送時のCO2排出――も考えると、地元でできる範囲の生産と消費の循環がいかに重要かが見えてきます。

でも、全てを「完璧にエシカル」にしようとすると息が詰まります。私たちは、まず「知ること」から始めて、「できる範囲で変えていく」ことが大事なんじゃないでしょうか。
いま、わたしたちにできること
- 「どこから来たのか」を意識して商品を選ぶ
- フェアトレードやエコラベルの意味を自分なりに調べてみる
- 日本国内の農産品やローカルな小規模生産者を応援する
- 台所で使うものをなるべく繰り返し使えるものに変えてみる(もちろん蜜蝋ラップも)
地政学なんて聞くと難しそうに思えるかもしれません。でも、それはわたしたちの暮らしの延長線上にあるもの。日々の選択を通して、世界とつながる。そう思えば、毎日のごはん作りや買い物にも、ちょっとした意味が宿ってくると思いませんか?

私の蜜蝋ラップは、無地のシンプルなデザインでありながら、布にはオーガニック認証とエコテックス認証を取得した安心の素材だけを使用しています。
オーガニック認証は、農薬や化学肥料を極力使わず、土壌や環境に負担をかけない持続可能な農業から生まれた布であることを示しています。
エコテックス認証は、有害な化学物質が含まれていないことに加え、製造に携わる労働者の健康と安全にも配慮された製品であることを保証しています。
シンプルな無地の布だからこそ、毎日の生活に自然に溶け込み、どんな食卓にも合わせやすい。環境や健康に配慮しつつも、飽きのこないデザインで長く使っていただけます。
安心して使える素材の蜜蝋ラップで、あなたの暮らしに小さなエコの習慣を取り入れてみませんか。
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