世代によってこんなに違う? エコ意識のリアル

「エコ」「サステナブル」「SDGs」──ここ数年で、耳にする機会が一気に増えた言葉です。
けれども実際に“エコに取り組む”という行動は、世代ごとに随分と違うことをご存じでしょうか。

最近の調査を読んでみると、日本人の環境意識には世代ごとに大きな特徴がありました。

数字で見るとちょっと意外なことも浮かび上がります。

今日はその違いを整理しながら、「私たちは世代を超えてどうエコをつなげていけるのか」を考えてみたいと思います。


戦後世代(70代〜80代):もったいない精神が暮らしの知恵に

私の親世代にあたります。戦後の物資不足を知るこの世代のエコ意識は、「環境のため」というより「節約」「無駄をなくす」ことに根差しています。
新聞紙で野菜を包む、瓶を回収に出す、風呂の残り湯を洗濯に使う──。私たちから見れば立派なサステナブルですが、本人たちは「当たり前の暮らし」と答えるでしょう。

ある意味、いま注目されている「ゼロウェイスト生活」の先駆けとも言えます。

その物資不足を打破したいと高度経済成長期に大きく躍進し私たちの生活の基盤を支えてくれたのがこの世代です。


団塊ジュニア〜氷河期世代(40代〜50代):制度に育てられた世代

この世代が直面したのは「ゴミの分別」と「リサイクル制度」の広がりです。私もこの世代。


90年代以降、自治体のゴミ収集ルールは細分化され、「燃えるゴミ」「資源ゴミ」「プラスチック」といった分別が常識になりました。発展が続きいろんな社会問題が出てきたころです。

調査によると、この世代がもっともよく実践しているエコ行動は「マイバッグ・マイボトルを持つこと」。暮らしの延長線でできることを取り入れつつも、「コストとのバランス」を強く意識するのが特徴です。


ミレニアル世代(20代後半〜30代):おしゃれなライフスタイルとしてのエコ

SNSの普及とともに育ったこの世代にとって、エコは「未来のため」というより「ライフスタイルの一部」として意識されています。


実際、30代以下では7割以上が「SDGsに関心がある」と答えています(FNN調査 2023)。

ただし実行面では「節電・節水」など小さな工夫にとどまることが多く、「意識は高いけれど、行動はまだこれから」というギャップがあるのも事実。エコが“ブランド価値”や“おしゃれ”として取り入れられる傾向が強い世代です。


Z世代(10代〜20代前半):未来への危機感と現実の揺らぎ

もっとも未来志向で、エコに真剣な世代がZ世代です。


ある調査では、Z世代の約8割が「SDGsに関心がある」と答えています(プレスウォーカー 2023)。

けれども、行動の理由を聞くと違う一面も見えてきます。
「電気自動車を選ぶ理由は?」という質問に、約半数が「燃料費の節約」と回答し、「環境に良いから」としたのは2割程度でした(GfK調査 2022)。
つまり「環境のために頑張る」という理想と「コストや便利さを重視する」という現実の間で揺れている世代なのです。

ただ一方で、「気候変動は自分の人生に直接影響する」と考えている割合は他の世代より圧倒的に高い。

ここに、この世代ならではの切実さがあります。


データが示す“意識と行動のギャップ”

日本人全体を見て、環境問題への危機感は高いとは言えません。

GfKの国際比較調査によれば、日本で「環境問題は深刻だ」と答えた人は31%。これは調査対象国の中で最も低い水準。

さらに旭硝子財団の「未来の時計」調査では、大人世代が「地球環境の危機は午前7時」と答えたのに対し、Z世代は「午前6時20分」。若い世代のほうが危機を目前に感じているのに、実際の行動は追いついていない。


この矛盾が、日本のエコ意識の最大の課題なのかもしれません。


世代を超えてつながるエコのかたち

こうして見ていくと、世代ごとにエコへの入り口は違います。

  • 高齢世代は「もったいない」
  • 中堅世代は「ルールや節約」
  • 若い世代は「未来やライフスタイル」

でも共通しているのは、「できることを日常の中で取り入れている」という点です。

出店などで多くの世代の方々とお話する機会があります。各世代で話題が違って私自身がとても学びになったので今回のブログに書いてみました。たとえば、私が作っているオーガニック蜜蝋ラップ。

  • 高齢世代には「昔ながらの包む文化」を思い出す道具。
  • 40〜50代には「使い捨てを減らす家計にやさしいアイテム」。
  • 若い世代には「プラスチック削減を実感できるライフスタイルツール」。

世代が違っても、ひとつの道具がそれぞれの動機に重なり合う。そんな“橋渡し”になるのではないかと思っています。


おわりに:違いを越えて未来へ

世代によってエコ意識の形は違う。でも、その違いはむしろ強みになるはずです。


「もったいない」を知る世代と、「未来を守りたい」と願う世代。

その両方をつなげる視点こそが、これから必要とされるのではないでしょうか。

データは時に日本人のエコ意識のリアルを突きつけます。でも同時に、暮らしの中に小さな工夫を取り入れる力も、私たちは持っています。


世代を超えて、それぞれの動機を認め合いながら「次の一歩」を重ねていきたい──そんな思いで、私は日々のものづくりに取り組んでいます。

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