――制度の違いと、私たちの選択
世界では年間およそ20億トンの都市ごみが発生しています。
その約33%は、適切に管理されていないと報告されています(World Bank, 2018)。
この数字は大きすぎて、どこか遠い話のように感じます。
けれど、ごみはいつも家庭から始まっています。
分別は、小さな行為です。
でも、その背後には社会の設計があります。

図表1:主要国の都市ごみ処理状況(概数)
| 国 | リサイクル率 | 焼却(熱回収含む) | 埋立率 |
|---|---|---|---|
| ドイツ | 約67% | 約31% | 1%未満 |
| 韓国 | 約59% | 約30% | 約10% |
| スウェーデン | 約49% | 約50% | 1%未満 |
| 日本 | 約20%(素材再生) | 約75% | 約1% |
| 米国 | 約32% | 約12% | 約50% |
出典:OECD (2022), World Bank, 各国環境統計
数字を見ると、それぞれの国が「何を優先しているか」が見えてきます。
ドイツ:分ける文化と企業責任
ドイツは約67%をリサイクルしています。
家庭での分別は丁寧ですが、それ以上に重要なのが「拡大生産者責任(EPR)」制度です。
包装を作った企業が、回収と再資源化の費用を負担します。
分けるのは市民。
設計に責任を持つのは企業。
分別は努力ではなく、循環の一部として位置づけられています。
韓国:仕組みが行動を支える
韓国の従量制ごみ袋制度では、ごみの量がそのまま家計に反映されます。
制度導入後、排出量は約30%削減されました。
環境意識を高めるだけでなく、
制度が自然に行動を整えていく。
理想と現実の間を、設計で埋めているように感じます。
スウェーデン:社会全体で循環
スウェーデンは埋立率1%未満。
焼却熱回収とリサイクルで、ほぼすべてを循環させています。
家庭での分別は比較的シンプル。
その代わり、国家レベルで循環経済が設計されています。
「家庭の善意」に頼らない構造。
そこに成熟を感じます。
日本:丁寧さの強みと課題
日本はとても丁寧に分別します。
自治体によっては10種類以上。
けれど、素材そのものを再資源化する割合は約20%前後。
焼却依存が高いのも事実です。
誠実に分ける文化はある。
その先の循環設計をどう進めるかが、これからの課題なのかもしれません。
分別はゴールではない
世界を見て思うのは、
分別の細かさが目的ではないということ。
本当の問いは、
・どう作るか
・どう選ぶか
・どう繰り返すか
分別は「後処理」。
設計は「前提」です。
循環経済(Circular Economy)は、
廃棄物を減らすことではなく、
廃棄という概念を最小化する設計思想です。
私の暮らしにつなげる
国家制度はすぐには変わりません。
でも、家庭の選択は変えられます。
使い捨てを減らす。
繰り返し使えるものを選ぶ。
自然に戻る素材を取り入れる。
私が蜜蝋ラップを作る理由も、そこにあります。
分別を頑張る前に、
そもそも「出さない」設計を考える。
小さな道具ですが、
思想は大きい。
世界の制度を見つめながら、
私は自分の暮らしの中で循環を試しています。
完璧ではなくてもいい。
でも、方向は選べる。
ごみは終わりではなく、
これからの社会をどう設計するかという問い。
その問いに、静かに向き合い続けたいと思います。
